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LUCY 「BIG ISSUE KOREA」No.306 インタビュー 日本語訳

 

BIG ISSUE KOREA No.306

BIG ISSUE KOREA No.306

LUCYのファンになったファン達の経路は多様だ。偶然Youtubeでカバー動画を見ただとか、フェスティバルでステージを見ただとか、友人に「この歌すごく良いよ」と薦められて聴くようになった場合もあれば、バンドのステージではなかなかお目にかかれないイェチャンのヴァイオリン演奏に惹かれることだってある。LUCYの歌は一つのジャンルに縛られず、彼らの歌だけをプレイリストに入れて散歩に出かければ、自然と鼻歌を歌い、足取りも軽くなる。生き生きとした青春が、静かに押し寄せてくるような音楽だ。

ラフな服装でラグに集まり座るLUCYのメンバー達は、自然なポーズを取ってほしいというお願いにしばらくもじもじしたかと思えば、手に持ったドラムスティックでヴァイオリンを弾く真似をし、あっという間に彼ららしいふざけたお遊びに夢中になった。お互いを信頼し合っているからこそできる果敢なポーズと、四人がまるで一体となったかのように、ソファーの上でお互いに体を寄せ合う姿から、彼らが共にしてきた時間が垣間見えた。撮影中ずっと愉快なテンションが維持されていたため、チームの雰囲気の秘訣を聞いてみると、お互いが同僚である以前に、非常に仲がいい友人だと思っているという答えが返ってきた。こんなLUCYの願いは5周年、10周年でも今のようにステージで遊びまわること。いつまでも今の姿そのままでずっと、仲間達と共にステージに立ちたいと思うし、また、きっとそうなるであろうと語るLUCY(シン・イェチャンチェ・サンヨプチョ・ウォンサンシン・グァンイル)の顔には、未来に対する確信が溢れていた。

 

フェスティバルの季節ですね。カムバック準備に単独コンサートまで、非常に忙しく過ごされているかと思うのですが。

 

ウォンサン もちろん忙しくもありますが、「次のステップはそんな準備をすれば、ファンの方々に喜んでもらえるだろうか」と悩みながらも、楽しく過ごしています。僕達が準備したものを見て、喜んでくださるファンの方々を見ることが、全ての原動力になっていると思います。

 

バンド音楽の魅力はライブステージにありますよね。観客と呼吸を合わせることも重要だと思うのですが、ライブの時に一際観客の反応が良い曲はどの曲ですか?


サンヨプ ついこの間、単独コンサート「열, 다섯」を無事に終えました。アルバム発売二日後に開いたコンサートだったんですが、新曲「내버려(So what)」はすごく熱く楽しんでくれてたんですよ。

グァンイル 反応が良いステージは「개화(Flowering)」ですね。LUCYを多くの方々に知ってもらえた曲でもありますし、イントロが始まると、とかく反応が大きいんですよ。

 

大変多くのステージに立たれましたが、特に記憶に残ったステージがありますか?

 

サンヨプ 最近行った単独コンサートですね。一生懸命準備した全てのことがお見せできて、記憶に残っています。みんなで一緒に歌を歌ってくださって、ステージの余韻がしばらく冷めませんでした。

グァンイル 僕も最近行ったコンサートの余韻が未だに残っています。非常に多くの瞬間がありましたが、個人的には未公開の自作曲二曲を初めて披露したステージが記憶に残っています。すごく緊張したんですが、ファンの方々が喜んでくださったので、楽しく終えることができました。

 

本日の撮影コンセプトは「より近い距離で見つめたLUCY」です。普段、直接撮影して編集したVLOGやバブルのメッセージを通して、ファンの方々に事細かに日常を共有していらっしゃるじゃないですか。普通、休みの時はどんなことをなさって、時間を過ごされる方ですか?最近ハマっていることがあったら、LUCYのささやかな日常を紹介してください。

 

サンヨプ メンバー毎に休みの過ごし方が違うんですが、僕は運動するのが好きで、家で映画を見るのも好きです。この前は家にビームプロジェクターを設置したんですよ。でも一番好きなのはやっぱりサッカーですね。

イェチャン 僕は最近、旅行に興味があります。元々は「インドア派」なので、家の外に出るのが好きじゃなかったんですが、最近は釜山に一人旅してきました。その時、一人旅の面白さを知りましたね(笑)。

ウォンサン 休みの時は家族に会いに行ったり、家でゲームをしたり、マンガを読む方です。でも…運動をして体を鍛えるか悩んでいるところです。

グァンイル 僕は最近お茶を楽しんでいます。おいしいし、お茶を飲む時、ほっとする感じが好きなんですよ。色々なお茶を飲みながら、毎日新しい味を楽しんでいます。

 

撮影の時もそうですが、ライブ映像やオリジナルコンテンツなどで四人が一緒にいる姿を見ると、テンションが高いですね。こんな風にステージの下で見せてくれるビーグルのような姿が、LUCYの「ファンになるポイント」でもありますよね。ファンダム名も「ワルワル(犬が体を震わせているわせている様子の擬態語)」だそうですが、明るいチームの秘訣は何だとお考えですか?

 

イェチャン 何と言っても四人みんなが仲が良いからだと思います。同僚でもありますが、それ以前にすごく仲の良い友達だと考えているので、自然に面白くて明るい雰囲気が出てくるんだと思います。

サンヨプ メンバー達は年の差があるんですが、みんな友達みたいに接してるんですよ。特にリーダーでもあり、最年長のイェチャンヒョンがこんな雰囲気の中で、年下メンバーによくしてくれるので、僕達は上手くまとまっています。

 

LUCYといえばカバー曲の話がかかせません。ウォンサンさんがカバーした『Moonlight』のベースの速弾き動画をはじめとして、多くのカバー動画が高い再生回数を記録して話題になりましたよね。SNSでもカバー動画をよくアップロードされていますが、最近カバーしてみたいと思った曲がありますか?

 

ウォンサン まだ計画している曲はないんですが、最近LE SSERAFIMの方々の『Eve, Psyche&The Bluebeard’s wife』という曲を聴いて、 LUCYがカバーしたらどうかなと思ったことはあります。

 

夏の感性がめいっぱい漂う4thミニアルバム『(Fever)』は青春の熱病について歌っています。ティーザー写真や映像を見ると、学校を背景に制服を着たメンバー達の姿が、特に目に留まりますね。

 

サンヨプ 久しぶりに学校に行ったので、昔をすごく思い出しましたね。廊下に作文コンテストのような校内の大会で入賞した生徒達の作品が貼られていたんですが、それを見て心が温かくもなりましたね。撮影中に体育館でバンドプレイ映像を撮ったんですが、途中で待ち時間に学生の時のようにバスケットボールをしたりもしました。

イェチャン 文字通り、「学校の全ての空間が青春の場なんだなぁ」と思いました。僕が通っていた学校なわけではありませんでしたが、子供の頃は感じることのできなかった切ない感情を思いっきり感じてきました。

ウォンサン 久々に制服を着たので、フレッシュな感じがしたましたね。これは余談なんですが、初めてミュージックビデオを撮影する日は空が曇っていて、室内体育館で演奏シーンを撮影したんです。その後、ミュージックビデオの完成度を高めるためにグラウンドでもう一度撮影したんですが、そのシーンがすごくうまく出来上がったうえに、ファンの方々がとても気に入ってくださったので、もう一度撮影してよかったなと思いました。

 

全ての映像にはMP3やギターなど、各メンバーの思い出が詰まったオブジェが登場します。皆さんは学生時代にどんな学生だったんですか?

 

サンヨプ 僕はサッカーとバスケがすごく好きだったので、いつも日焼けしていたし、サークルの集まりも積極的に参加する学生でした。あと窓際で歌を歌うのが好きで、休み時間にさえなれば、窓の外を眺めながら歌をたくさん聴いていましたね。

グァンイル またの名は「お調子者」でした。友達と遊ぶのも好きだったし、よくふざけていて愉快な性格を持った学生でした。

 

LUCYはメンバーの皆さんが直接作詞、作曲、編曲まで受け持っていることで有名です。今回のアルバムもやはり、メンバーの皆さんが全てのトラックにプロデューサーとして参加されていますね。デモ曲を初めて聴いてもらった時、メンバーの皆さんの反応はいかがでしたか?

 

ウォンサン 実は僕達の中で初めてデモ曲を共有すると、初めはそんなにフィードバックを送らないんです。でも『아지랑이(Haze)』のデモを送った時は、みんな歌が良いと反応してくれたので、僕もまた確信を持って曲作りに拍車をかけることができました。本当にありがたいですね。

グァンイル 僕が作曲した『Magic』を初めて聴いてもらった時、「ノリがいいし、目新しくてクセになる」と言ってくれたので、記憶に残っています。

 

バンドメンバーではなく、プロデューサーとしてはどのような姿なのか気になります。メンバー毎にディレクションのスタイルが違うんでしょうか。

 

サンヨプ まずウォンサンは細部まで全て計画して構成してくるスタイルなので、ポイントを一つ一つかいつまんでディレクティングする方です。それでディレクティングが具体的で細かいです。グァンイルはボーカルに解釈を任せる感じなので、自由に表現してもいいと言ってくれます。二人のディレクティングがどちらも興味深いので、楽しくレコーディングを終えた記憶があります。

 

あるインタビューでバンドの音楽に対するハードルを下げたいとおっしゃっていました。バンドはロックしかしないという固定観念を壊したいと。 LUCYの公式Youtubeチャンネルのコメンタリー映像を見ると、より多様なジャンルを試してみようと努力なさり、各楽器の活用を巡ってとことん悩んでいらっしゃいました。今回のアルバムもやはり、新しい試みやこのための議論があったのでしょうか。

 

サンヨプ 音楽やライブに接する人達が驚く位の演出について、すごく悩む方です。また今回はバンドと言ったら近づきにくい方達が多いんじゃないかと思って、アルバムの衣装コンセプトを制服にしたらどうかと意見を出したんですが、アルバムを通して伝えようとしているメッセージとも、上手く合っていたので満足しています。

ウォンサン 今回のアルバムは議論し、計画したうえで実行するというよりはそれぞれのアイデアを自由に試してみて、気に入った部分を全て音楽に取り入れました。デビュー後、3年を超える時間を共に息を合わせてきたので、最近はお互いを信頼し合い、より果敢な試みをするようになりました。

 

曲作りをする時は普通、何からインスピレーションを得ますか?愛犬を見て得た音楽的インスピレーションを表現した曲もありますが。

 

サンヨプ 日常生活の中で、突然思い浮かんだメロディや素材をスマホに記録する方です。何かのインスピレーションを感じるというよりは、ふと思いついたアイデアを忘れないように記録しています。

ウォンサン 僕は曲を作る時、一瞬でインスピレーションを得て書くタイプではありません。普通曲作りをする時は、まるで小説を書く作家が、自分が作り出した主人公をデザインして理解するように、僕も自分が作った曲について想像を重ね、理解しようとしています。そうして努力しているうちに、伝えたいメッセージが完成するんですよ。

 

今回の4thミニアルバム『(Fever)』は主にどこからインスピレーションを得ましたか?作詞に参加した曲の中で、気に入っている歌詞がありましたら、どの部分なのか教えてください。

 

ウォンサン 今回のアルバムはまずトラックを書き、その後伝えたいメッセージを込めました。ぬくもりの「熱」、熱い「情熱」、胸が苦しくなりながらも成長する人達の「熱病」まで、全ての「熱」が持っている意味を、人生の夏に例えて表現したかったんです。またこれを通じて励ましのメッセージを伝えたかったですね。好きな歌詞は「火がついても不思議じゃないくらいの陽射し(뜨거/Hot!)」、「愛するための人生 生きていくための愛(아지랑이/Haze)」、「初めて通った道だから転んだのにどうしろってのさ(내버려/So what)」です。

グァンイル 『Magic』はただ「楽しもう!」という気持ちで作曲を始めたんです。夏が近づくにつれ、多くの木々が芽吹き始めるように、平凡に感じるすべてのことが、見方を変えると魔法のようだという思いから影響を受けました。また、僕が想像していた様々な感情を、フェスティバルで聴く方々が共に感じられたらいいなと思っていたのですが、曲にこのような雰囲気が上手く込められていて嬉しいですね。

 

LUCYの音楽の中には、季節を唄う曲が多いです。実際に、季節毎に合う曲が一曲ずつある程なんですが、暑さが少しずつ和らいでいっている今、この季節に一番合うLUCYの歌をオススメしてください。

 

イェチャン 何と言っても今回の4thミニアルバムのタイトルである『아지랑이(Haze)』ではないでしょうか。暑苦しい熱病に疲れた人達を励ます、夏の日の感動がある曲なので、『아지랑이(Haze)』が一番合うと思います。

サンヨプ 『아지랑이(Haze)』という曲は夏にもぴったりなんですが、少しずつ涼しくなり始めたこの時期もよく合うと思います。

ウォンサン 暑い真夏にはやはり、今回のアルバムの一番目のトラックの『뜨거(Hot!)』がぴったりだと思いますが、そろそろ涼しくなってきたので、僕も『아지랑이(Haze)』がよく合うと思います。

グァンイル 僕は『Magic』です(笑)。暑さが和らいでいっている時期には『Magic』が一番合うと思います。

 

青春のストーリーを込めた今回のアルバムを通して、伝えようとしているメッセージは何ですか?

 

イェチャン 今回のアルバムは LUCYならではの清涼感と、人生の暑い夏の日、誰もが経験している、経験するであろうストーリーを織り込めました。みんなが過ごしてきた、苦しかった「熱さ」を経験した時期があったからこそ、今、そしてこれからの僕達を本当の「自分」でいられるようにしてくれるというメッセージを伝えたいです。

ウォンサン 前述しましたように青春に向かって本気で臨み、僕たち皆がそんな過程を経てきていました。だからこそ、「あなたはあなたの道を行けばいい」と応援のメッセージを伝えたいです。何一つも、あなたの美しい「熱さ」と「青春」の時期を壊すことなどできないのだから、いかなる時も自分を愛し、みんなのために幸せになってほしいという気持ちを込めました。

 

今年でデビュー3周年を迎えます。これからグループとして叶えたい目標と、音楽的な目標が気になります。この先5周年、10周年のLUCYはどのような姿であることを望んでいますか?

 

サンヨプ 今のようにたゆまず変わることのない姿で、ずっと共にしていくと思います。時を重ねるほど、LUCYLUCYの音楽を好きになってくれる全ての方々から頂いた気持ちを、お返しできるように一生懸命努力していくつもりです。

ウォンサン バンドと言ったらLUCYが思い浮かぶ位、多くの人達の人生に溶け込んで、大きな励ましと感動を与えたいです。時には仲が良い友達のようで、時には頼りがいのあるバンドとして成長したいです。

グァンイル 今のように多くの方々に、素敵な音楽を届けたいです。音楽を通じて真の励ましを届けられるバンドになりたいです。より多くの方々に、愛されるバンドになりたいです。

イェチャン いつまでも今の姿そのままで、末永く仲間と共にステージに立ちたいです。ファンの方々と共にし、近づけるバンドになりたいです。5周年、10周年も今のように、ステージの上を遊び回っていたいと願っていますし、またそうなるだろうとも思います。

 

2023年9月23日

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意訳を含みます。

元の記事はこちらです。

BIG ISSUE KOREA インタビュー(1)

BIG ISSUE KOREA インタビュー(2)